私たちは、食生活が多様になっていく中で、のりの食べ方も多様であるべきと考えます。伝統的な味わい方以外にも、パンやパスタ、スープやリゾットなどの新しい食習慣に、のりをどう合わせていくか。私たちはもっと、のりの可能性を探りたい。磯の香り豊かなのり、パリッと歯切れのいい食感。それらが多様な食習慣の中で、より多様に対応できていくことこそ、百年先に続く食習慣となるのではないでしょうか。様々なライフスタイルに合わせて、様々なのりの楽しみ方をご提案します。
私たちは、のりのことをどれだけ知っているでしょうか。かつては、お中元やお歳暮に、のりを贈ることが一般的でした。のりの旬には若芽の柔らかいのりを、季節とともに愉しむのが嗜みであり、産地を訪れ、その土地の味わいを知ることも、また喜びでした。そんなのりの魅力が少しづつ伝わらなくなってきています。でも本物ののりには、伝えるに足る魅力があります。本物ののりにであうことで、その魅力に気がついてもらいたい。その土地の、海の恵みとしてののりは、魅力に溢れています。
いま、のりを取り巻く状況は、楽なものではありません。食の多様化は進み、価格優先の市場はどんどん膨らみ、のりの生育環境も変化しています。このまま百年先にのりをつなげるためには、各プロフェッショナルが力を合わせる必要があります。生産に関わる方、生産者をサポートする方、流通の方、伝える方、様々な属性の方達を仲間にして、みんなで力を合わせることが大事です。日本の食文化であるのりを百年先につなぐために、今何ができるか、何をすべきかを考えます。
1000年以上前から日本で食されていたのり。かつては貴族の中で貴重品として贈り合っていたとか。そうした積み重なる歴史の中で、貴重品だったものが庶民の手に届くものとなり、食べ方やつくり方や売り方や伝え方、様々に変化をして今日に至っています。その文化文脈は忘れずに、今後も時代に合わせて変化し、新しい価値を生み出していく。守るだけではなく、積極的に変化することで、のりを伝えていきたい。